crevasse主宰の大滝です。
3/6~4/8に「風土の祭り」がいよいよ常陸國總社宮で開催されます。
その展示期間中に『コンポン』というZINEが並びます。
浅野暢晴、飯島渉、郷戸一行、佐藤理絵、塩野太朗、白石綾、田村崇、蛭田香菜子、古橋香、松本良太、サユリニシヤマ
11名の作家のインタビュー記録です。
今回は『編集後記』って感じで
ちょっと長い話を。
11月頃から各作家のもとへ回りながらインタビューを敢行し
ようやく形になりつつ…あと一息。

内容は作家さんの生い立ちとかそういう内容なんだけど
11人もやってると、やっぱり自分のこともどんどん思い出しちゃいます。
近くの川で釣りやったなー、とか。
餌がミミズで、買うのアホらしいから育てたり。
迷信でミミズにしょんべんかけたらちんちん腫れる、
っていうのがあって、
ミミズを針にかけてこれで立ちションして大丈夫だったかなーって
やたら心配したり。
もともと薄い本で内容も作品のコンセプトとかじゃなく
生い立ちとかなので「堅苦しくならず重苦しくならず」
ってことで、表紙もイラストにしようとスタートして、
話し方とかから人の感じが伝わればな~、と思ってたんだけど
意外とみんながっつり話してくれた。
ありがたいことです。
たまたまイラストもポップすぎないものがあがってきて
『導かれてんなー』という感じです。
イラストは、チラシも担当してくれた齊藤明美さんです。(mnmmssm.tumblr.com)
話の内容も、
きっと本人にあって話をふれば
話してくれるだろうことがほとんどなんだけど
インタビューっていう特殊な機会でなければ
あらためて聞くことないでしょ。
多分本人をよく知ってるひとでも
意外と初めて聞く話が多いんじゃないかなと思います。
10年20年経ったら貴重な本になりますよー。
こんな話、今後そう露出しないと思うんで(笑)
なんでこんなことしようと思ったかっていうと
僕、元々、添えられてる文を読むのは好きで
CDのライナーノーツとか
映画の公開会見見ちゃうとか。
なぜ作ってるのか、なにを表現してるのか、
ってことが見にきたひとが聞きたいことだと思う。
そのときに作家さんに「コンセプトは?」って聞くのは
意外と作品へ深く切り込めない経験ってないです?
だれの言葉だったか
「説明は人を納得させない」
ってこともある気がします。
坂口恭平だったか誰かが、
あるホームレスへのインタビューで
「なぜホームレスになったんですか?」
って聞いてもなかなか答えてくれないけど
テントに転がったヤカンを見つけて
「このヤカンはどこから拾ってきたんですか?」
って聞いたらいろいろそのときの思い出とか
細かく話してくれるっていう話があって。
概要みたいなものを大掴みで話そうとするより、
もういきなりディテールに迫ったほうが
「そのひとらしさ」が分かる。
そういった「そのひとらしさ」って
当たり前だけど作品に現れてるし、
むしろ作家本人も気付いていなかったりする。
要は添えられる言葉には適切な距離感があって、
その間を埋める想像力が楽しい。
インタビューを実際してみて
それぞれみんなバラバラだったのが面白かった。
想定以上で。
制作中の作品と作家さんの関係性って
たぶんみんな全然違う。
それがもう一人別の人が関わったときに
アート、って共通言語になるだけで。
そういうところを見てもらえたら
なぜ作ってるのか、なにを表現してるのかが
より楽しく読めると思うし
正に『コンポン』かなと思います。
ZINEは何に対して優秀なメディアか、っていうと
やっぱりコミュニケーションツールになりやすいことだと思う。
間違いなく『コンポン』を読んだら
直接作家さんに聞きたくなるし、
それについて作家さんは聞かれると思う。
ぜひその話を"作品の前で"してほしいなって思います。
あと、重要なのは
どの角度から『コンポン』ってZINEを読むかで
価値が失われてしまうようだといけない
とは思ってます。
もちろん販売するってことは
展示と切り離されて家で単体で読んだときも
おもしろくなきゃいけない。
あるいは読む人によっても。
ほかの出品作家が見たとき。
一般のお客さんが見たとき。
そのお客さんが作家の場合。
あるいはインタビュイー本人が読んで。
それぞれの価値がちゃんとあるものにしたかった。
僕のような覗き見的(悪)趣味がない人でも楽しめるものにしたかった。
おもしろいだろう、という自信はあるんだけど、
まあそれは実際にみんなの反応を見てからでしょうな。
でも学生さんとかが読んだら超面白いと思うな。
なんせ自分の数年後を想像するだろうから。
僕は企画したりとかするから、
本人も気付いていないような見方を提示できたら、
って思うけど、
見に来てくれたひとが言い当てちゃったりする可能性を作るほうが面白いと思う。
自分のことって結局だれかに言われないとわかんないから。
最後に告知を。
スマホにメモのご用意を。
①3/12 14:00~
トークイベントがあります。
出品作家と会場を回りながら解説と、
企画の浅野さん、禰宜の石崎さん、僕の3人のトークセッションです。
②3/18 14:00~
出品作家サユリニシヤマによるワークショップがあります。
「風土の祭り」や總社宮の風景を撮影して
その写真を元にcrevasseが編集して、
あなただけのZineをつくろう、ってやつです。
③3/18-/20 12:00~17:00
神社近くの『宮cafe MURIS』でcrevasseのpop-up shopをやります。
crevasseでしか手に入らないものばかり。
齊藤明美さんグッズとか「風土の祭り」以外にも、
各地から作家が参加してくれて作ってるんでぜひ見て行ってください。